ギター弾けるようになりたい。

ギターが弾けるようになりたい。

 

みんなそう思って生きている。

 

人類は皆、そのモチベーションだけで生きている。

 

ギターを弾きたいという強い思い、それが産業革命に繋がり、情報革命へと発展を遂げ、今のテクノロジーを全て構築するに至ったのである。

 

ギターを弾きたいという思いは、全人類が抱く積年の情熱であり、往年の防熱であり、前年の発熱である。

 

しかし、実際にギターを弾ける人間というのは少ない。

 

人口の約2%、それも多くは湾岸地域にしか生息していない。世界での分布図を見てみると、その形は島根県をナナメにギュッとした感じに似ているという。

 

ちょうど島根県をナナメにギュッとした感じにそっくりである、ほんとに、ぴったし。

 

人口の約2%というと、意外と多いじゃないか、と思われるリスナーの方もいるかもしれないが、この確率というのは世界人口における「3月になったら必ず『3月になったのに寒いねー』といい出す人間の数」と同じである。

 

ちょうど、びったし同じである。

 


つまり何が言いたいかというと、ギターを弾けるようになりたいという人間に比べて、実際に弾けるようになる人間は少ないということだ。

 

圧倒的に少ない。もうね、圧倒的。

 

思い出して欲しい。あなたの周りにもいるのではないだろうか?事あるごとに「あー、ギター弾けるようになりてえー」って言ってるやつ。

 

「ギター練習しようと思ってるんだよねー」っていうやつ。

 

大体そういう奴に限って、いつまで経っても上手くならず、忙しいとかなんとか言いながら先延ばしにして、自分が待つのが嫌だからという理由で待ち合わせの時間にギリギリできたりして、結局クソみたいな人生を歩むのである。

 

何を隠そう、僕がそのクソ野郎なわけであるが、この度、僕はクソ野郎を卒業しようと思う。

 

なんなら転校しようと思う。

 

「忙しいを理由に全てのことを後回しにする口だけマッチ棒」から、「なんだかんだ言いながらやることやってて、いつのまにか有言実行しちゃいマッチ棒」への転換、もとい転校である。


なぜ、人はギターを弾けるようになりたいと思いながらも、実際に弾けるようにならないのだろうか。

 

これには約2071個の理由があるのだが、今回は時間がないので3つだけ、リスナーの皆に紹介したいと思う。


「ギターを弾ける人が少ない理由①」
<音がうるさい>

 

ギターは音を鳴らすことによって、その存在意義を世に示しているタイプの楽器である。

 

音が鳴らせないとなると、その存在意義が胡散無償してしまう。

 

音がないギターなんてのは、塩のないトンカツである。全くの無意味。害悪と言ってもいいかもしれない。

 

しかし現状、「ウサギ小屋」と海外から揶揄されるような、日本特有の敷き詰められた住宅に居住している場合は、音をかき鳴らして練習するということが難しい。

 

少し大きめの音を鳴らそうものなら、すぐに大家から苦情が飛んでくる。夜の時間帯にやろうものなら、すぐに警察が飛んでくる。

 

つまり「ウサギ小屋内では、なるべく音を立てずにひっそりと暮らしなさい、このバーカ」ということだ。

 

そんなことで、そもそも自宅では練習することが難しい。

 

じゃあスタジオ借りて練習すればいいじゃないか、という話になるのだが、初心者がいきなりスタジオで練習するとなると、ハードルが高い。

 

普通は初心者がいきなりスタジオに行けば、まずはバンドマン達に囲まれて、「てめ何楽器だよ?」ってことになって「あ、、ギ、ギターです、、」なんていうと、すぐさまボッコボコである。

 

4人がかりで、もしくはそのバンドがスリーピースであれば3人がかりで、ボッコボコである。

 

「てめえ調子乗ってんな」ってことになって、「さっきこっち睨んでただろ」ってことになって、「昔いじめてた奴にそっくりだわ」ってなって、ボッコボコ。

 

「目つきが気に入らねえ」って言われてボッコボコ。

 

そんで泣きながら帰ることになる。

 

ボロボロにされた服で帰ることになる。

 

よくスタジオから出てくる人のジーパンに穴が開いているのはこのためである。

たまに髪が血で真っ赤に染まっている人も目撃されている。

 

イジメ、ダメ、ゼッタイ。

 

そんなこんなで、結局ギターを練習するどころではなくなるのだ。

 

これがギターを弾ける人が少ない理由の一つ目である。


「ギターを弾ける人が少ない理由②」
<そもそも何言ってっかわかんない>

 

大体、ギターの練習を始める人は、コードというものを覚えるところから始める。

 

コードというのは、音の種類であり、要するにギターとは、コードを順番に弾いていくことで音楽を奏でるタイプの楽器なのだ。

 

だから初心者はまずコードを覚えるところから始めるわけであるが、まず線が6本引いてある図に、黒い点が何個か並んでいるのを見て、頭がおかしくなりそうになるだろう。

 

いや、僕もバカじゃないよ、バカじゃないから、これがギターの弦の数と、指で押さえるポイントを示しているってことはわかるよ。

 

しかしまず上下がわからない。これは一体全体どっちから見ての図なんだ?

 

ギターを弾く時に、ギターに正対して、向き合って弾く人間はかなり少数派のはずだ。

 

確か遥か昔、ジミヘンと呼ばれた、伝説のAV男優が、本番中にそんな弾き方を披露したという逸話も残っているが、所詮作り話であり、普通の人はギターの背中を自分のお腹に当てて、見下ろす形になる。

 

そうなると、コード表に書いてある線がどちらが上かわからなくなる。

 

せめてコード表に「こちらが上となります」とでも書いといてくれればいいのに、そんな説明は一切ない。

 

排他的な業界なのである。

 

そんなこんなで、ゆとり世代の子たちはあっという間に挫折することになる。

 

だって音符が読めないんだもん。コードを練習しようにも、やり方がわからないんだもん。

 

もっと丁寧に、親切に教えてくれればいいものを、ネットに出て来てる情報ですら判りづらいなんて、一体どうすればいいのか。

 

これじゃあ初めてマクドナルドを買いにきた人に対して、店員が「ダブルチーズバーガーだけはピクルス抜きにするのが難しいので、お客様の方でピクルスを抜いていただかないといけないんです。でもベーコンレタスバーガーのセットは今ならサイドメニューがLセットに無料でできますよ?ナゲットの15個セットをご一緒にいかがでしょうか?」って言ってくるようなもんだ。

 

初めての人からしたら、全てが呪文に聞こえるだろう。

 

ギター初心者を舐めてはいけない。

 

そんなことだから、最初から挫折する人があまりにも多いのである。


「ギターを弾ける人が少ない理由③」
<練習したところですぐにうまくならない>

 

ギターを弾けるようにならない理由の一番がこれだと思う。

 

まずコードを覚えるのが大変。そして、コードを覚えたところで、次は右手の弾き方を覚えなきゃいけないし、Fコードとかマジで意味わかんないし。

 

あと手が痛い。すぐ痛くなる。これ弾き方あってんのか?ってぐらい手が痛くなる。

 

痛いことがわかってるのにやりたがる人ってのは少ない。人は痛みを避ける生き物だからだ。

 


以上がギターを弾けるようになる人の少ない理由である。

 

そんなこんなで、弾ける人が少ないのだ。

 

その上でギターを弾けるようになりたい人がいたら、僕からアドバイスを一つだけ残して、この文章を終わりにしたい。

 

僕もクソがつくほど素人で、まだ一曲も引けないどころか、一個もちゃんとコード弾けないけど、でも君にアドバイスしたい。

 

練習しよ?

 

現場からは以上です。