ストリートダンス踊らないか
僕はこれまで、散々自分のことを内向的だとか、引きこもり体質だとか、よく見たら二枚目だとか、いろいろ言って来た。
それを踏まえた上で、みんなには落ち着いて聞いてほしいのだけれど、僕は大学生のとき、ダンス部に入っていた。
しかも社交ダンス部などのオシャレ系ではない。ヒップホップとかに代表されるストリートダンス系のダンス部である。
この時点で、僕に対する怒りで手が震え出している人もいるだろう。手に持つiPhone5sが、カタカタと音を立てている人もいることだろう。
落ち着いてよく聞いてほしい。一旦深呼吸をして、気持ちを落ち着かせて。話せばわかるから、だから、一旦その手に持った刃物を置くんだ。
ストリートダンス。それは「チャラチャラした」で表現されるものたちのキング。
ストリートダンス=チャラい
これほどまでに明確に、イメージだけで偏見を持たれている競技もないだろう。
ストリートダンスをしているというと、必ず第一声は「チャラい」である。または「チャラいに準ずる何か」である。
これは本当にやめたほうがいいと思う。あ、なんか急に腹立ってきた。ちょっとこの話続けますよ?
人にはみな偏見があると思う。でもそれを自分の考えとして、発表しなければ偏見足り得ない。つまり、発表したときのすれ違いによって、それが偏見であることを悟るのである。
つまり偏見とは、他者の考えとの相違、あるいはその物事の本質とのズレである。
例えば、どんなにハゲであることを話のネタにしている人でも、ハゲを気にしていないわけがない。少なからず、ハゲであることを気にしているのだ。
ハゲを話のネタにしていない人ならなおさらである。ハゲ!と言われて、嬉しい人がいるだろうか。
しかし世の中には、人のことをハゲと呼ぶ人がいる。なんとなしに、ハゲ!と気軽にいう人がいる。
一体どういう神経をしているのか。そういう人とは絶対に友達になれないなっていつも思う。
弱い立場の人間(ハゲ!と呼ばれているのは、立場の弱い方であることが多い)に対して、そのまま強く出れる神経がわからない。一体お前は何様なのか。
言葉によって人を攻撃することに、無意味に相手を傷つけることになんの意味があるのか。
きっとみんなこの意見には概ね賛成であろう。よっぽどのことがない限り、「いや弱者は弱者だから、おれはハゲのことをハゲと呼ぶよ」ってやつはいないはずだ。
たぶん。
とにかく、普通の人はそれぐらい理解できるし、そうだねって思うと思う。
でも、より馴染みがないことに対する偏見、差別はまだまだ存在する。
LGBTもそう、鬱病もそう。今でも、個人の意見とかを紐解いてみると、はっきりと偏見を感じることが多い。
僕だって、まだまだ偏見だらけだ。だからもっともっと勉強して、偏見をなくせるような、広い心を持っていきたい。
そこで、ストリートダンスの話だ。
ストリートダンスはまだまだ歴史が浅く、一番古いと言われているブレイクダンスですら、始まってから100年経っていない。
そんな歴史の浅いものだからか、世間の注目度も低いし、評価も低いことになる。
またダンスという特性上、人に見せる、または見せつけるのが主目的のため、その衣装や髪型、見た目はどうしても奇抜な、挑発的な、カッコ良い気取ったものになりがちである。
また練習の際は、なるべく動きやすく汗の吸収がいいものとして、フリースやジャージが好まれる。
これにより、本番は気取った感じのくせに、練習のときはだらしない格好をしている人たち、というイメージがついてしまう。
さらにダンスは音に合わせて踊るものだ。必然的に練習のときにも音を流す必要がある。
ひとりで踊る分にはイヤフォンなどで聞けば問題ないが、複数人で合わせる場合にはどうしても音を流す必要がある。
防音のスタジオを借りればいいという話なのだが、学生などはお金がないため、公園やビルの合間といった公共の場で練習することになる。
そういった状況をはたから見ると、だらしない格好をした若者が群れている。たむろしている。音がうるさい。公共の場だぞ。ということになって、ますますイメージが悪くなるのだ。
先ほどビルの合間といったのには理由がある。というのも、ダンスの練習には基本的に鏡が必要である。
鏡の前で踊ることで、自分の体の動きを把握し、より理想とする動きに近づけるよう繰り返し練習するのだ。
しかし家に全身が映る綺麗な鏡があって、しかも踊れるぐらいのスペースがあって、しかも多少踊ったとしても苦情が来ない家、、
そんな家に住んでるのは大富豪ぐらいである。医者だ、きっと医者の家だ。家系に医者がいる家だ!(これが偏見です)
そんなわけで、どうしてもイメージが悪くなってしまっているストリートダンスだが、人々の印象には多分に偏見も含まれているのではないだろうか。
各個人の意見をとやかく言うわけではないが、ストリートダンスが大好きな、魅せられた人間からすると、知り合いからの「へー、ストリートダンスやってるんだ、チャラいね」という言葉は、まったく悪気はないのだろうけども、とても悲しい気持ちになるのである。
歴史が浅いため、年上の人たちの間でそういったイメージがあるのはある程度しょうがないと思うが、同世代でもそのレベルの感想を持たれるというのは、非常に残念である。
もっとストリートダンスに対する見方が変わればいいな。
はっきり言って、こんなにいいものはないと思うのだ。
本来人間は、音に合わせて体を動かすのが好きな生き物である。
クラブしかり、ディスコしかり、祭りしかり、最近流行ったのでいうと恋ダンスしかり。音に合わせてみんなで体を動かすのは楽しい。
「踊りだす」という言葉は、基本的には嬉しい気分を表すはずだ。
踊りは楽しい。ダンスは楽しい。
素直に、既存のイメージにとらわれず、ダンス、踊っちゃいなよ。
ということで11月のダンスイベントに出させてもらうことになった。
これまた不思議な縁で、2ヶ月前だと想像もつかないような角度で、自分が出れるレベルではないイベントに出させてもらう。
他の出演者と比べて、あまりに初心者のため、さすがに迷惑かけるだろうなとは思ったけれど、関係ねえ、知ったこっちゃねえ、やっちまえ、という深夜のテンションで参加希望を出した。
死ぬほど練習頑張らないといけないけど、死ぬほど楽しみたいと思うのだ。
現場からは以上です。